心理療法・精神療法について

武蔵小杉セラピールームでは、悩みや問題、症状を詳しくお聞きして、その方の状態や環境に応じた心理療法や精神療法を取り入れたカウンセリングやトレーニングを行っています。

認知行動療法

たとえば、完璧主義でいつも「仕事も勉強もミスは絶対に許されない」と思ってがんばっていること。

それ自体は決して悪いことではありませんし、自分を向上させるためには役に立つ考え方です。

でも、いつもいつも自分に厳しすぎるとしたら、万が一、ミスをしたときにはひどく落ち込んでしまうでしょう。

逆に「人間なんだからミスをすることだってあるよ。それを教訓に次にがんばればいいんだ。」

という考えを持っていると、ミスをしたときのショックも少ないし、落ち込みからの回復も早くなります。

このように、物事の考え方、とらえ方一つで同じミスでもストレスの大きさやその後の気持ちがまったく変わってきます。

認知行動療法では、このものの考え方やとらえ方(認知)に焦点をあてて、自分を傷つけるような偏った考え方や信念に自分で気づき、修正をしていく練習をします。

考えを修正することがうまくできるようになると、気持ちの切り替えも上手になりストレスに強くなれます。

認知行動療法はうつ、不安障害などさまざまな症状に有効と言われています。

行動療法

ばくぜんと「職場での人間関係がうまく行かない」という訴えがあったとき、行動療法では、では例えばどんな場面で、誰と、何がうまくいかなくて、何が起きて、どういうふうに困ったのかを細かく聞いていきます。

そして、ひとつひとつの行動に対してきめ細かく何をどう改善すれば、何を変化させると良くなってくるのかをさぐり、できそうなことから少しずつ、実際に実行していきます。

一見、遠回りに見えるかも知れませんが、自分自身の力で苦手だった問題のうちのひとつがクリアできたというのはなかなかうれしいものです。そして自信につながります。

いくつか課題を達成していくうちにだんだんに自分自身を観察する力、自分自身の行動を上手にマネジメントする力がついてきます。

最初のうちはこれを一緒にやっていきますが、最終的にはご自身で問題を特定し、考えて、行動を変化させていけるようになることを目指していきます。

行動療法は心理分野だけでなく、学校、公衆衛生、発達障害の日常生活、仕事の支援、強迫性障害、恐怖症、パニック、社会恐怖、うつ、生活習慣病などのコントロールや予防、家族支援などで広く使われています。

リラクセーション・トレーニングの系統的脱感作や恐怖症や強迫性障害に使われるエキスポージャー、暴露反応妨害法、リハビリテーションで使われる社会技能訓練(SST)なども行動療法の技法です。

弁証法的行動療法

境界性人格障害(BPD)の治療のためマーシャ・リネハンが開発した心理療法です

BPDのクライアントは常に最善を尽くしていて、状況や自分自身の不具合を改善しようとしています。

しかし、対処法が効果的でなかったり、感情の激しいアップダウンに振り回されてしまったりして日常生活で困難が生じ、結果的にいつもイライラしたり絶望感があったりして苦しい気持ちになってしまいます。

リネハンの提唱する弁証法的行動療法では外来の個別心理療法・グループスキルトレーニングや補助的に薬物療法・入院治療などを使い、自分の感情や意見を言葉で表現したり今の状況を説明したりして、効果的な対人関係をつくっていけるように練習します。

他に、いい悪い・白か黒かはっきりさせたがる特性を緩和したり、不安や心配でもすぐに行動化しないでいられるようになるように感情コントロールの技術を身につけたりするなど、自分の特性を学び、理解して、弱みをカバーし、強みを生かしていけるようなスキルトレーニングを行っていきます。

境界性人格障害で苦しいのは、絶望的な見捨てられ感と気分の上下です。

怒りや感情のコントロール技術を身につけて自分の気分に振り回されなくなってくると、日常生活や人間関係も安定し、比較的おだやかな気持ちでそれほどイライラせずに毎日を過ごせるようになります。

そういった日々が続くと自信につながり、少し自信がわいてくるとますます感情や人間関係が安定する、といういい循環を作っていくことも可能になります。

家族療法

家族療法というと、家族に何か悪いところがあってその問題を解決する方法だと思われているかたがいらっしゃるかもしれません。

通常、例えば家族のメンバーのひとりに問題が起きたとき、そのひとりをクライアントとして治せばすべてが丸く収まる、または「あの子がああなったのは誰々のせい」と考えてそこさえうまくいけばいいと考えがちですが、家族療法では問題のとらえ方が少し違います。

「あの子が悪い」「お母さんが悪い」「お父さんが悪い」と悪いところ探しをするのではなく、家族全体をひとつのシステムとしてみて、家族全体が変化して問題を解決できる家族になってもらうことを目指すのです。

どうやったら家族が健全にうまく問題に対処していけるようになるかを話し合い、協力し合って、家族のひとりひとりが持っている力を発揮して、できることをやっていくことで、いろいろな問題が解決していくようになる方向での支援をしていきます。

EMDR

Eye Movement Desensitization and Reprocessing(眼球運動による脱感作と再処理法)の略で、フランシーン・シャピロによって開発されました。

トラウマやPTSDに対しての治療効果が認められており、つらかった記憶にまとわりついている恐怖感、不安感、身体的な苦痛などのストレスを楽にする効果があります。

誰でもがもともと持っている脳の自然治癒力、嫌な記憶を処理する自然な仕組みを刺激して活性化すると言われており、苦痛の少ない療法とされています。

眼球運動が基本ですが、音、触覚などのさまざまな両側性刺激を使う方法があります。

リラクセーション・トレーニング

いろいろな症状の底には緊張感、不安感、ストレスがあることが多いものです。

気持ちが緊張して不安になると、体も緊張して心はもっと不安になり、体が緊張をしてしまうと心は不安になってより体が緊張するという悪循環を生みます。

リラクセーション・トレーニングを行って心や体の使い方のコツを学んで、緊張感を上手にゆるめられるようになると、さまざまな症状が軽減してきます。

リラクセーション・トレーニングの代表的なものとして、体の筋肉の緊張と弛緩を意識しながら全身のリラックス状態を作っていく漸進的弛緩法、自己暗示を使いながら心を落ち着けることで体もリラックスさせていく自律訓練法などのテクニックがあります。